マロース

  • 作・演出 倉本聰
  • 富良野GROUPロングラン公演2011冬
  • 富良野GROUP公演2012冬
  • 富良野GROUP公演2014冬

北海道の中央。
森に覆われたこの一帯の村落で、不審な野鳥の大量死が発見される。それは何人かの村民への感染まで疑われ、渡り鳥の運んできた鳥インフルエンザと認定される。付近の鶏にもその影響が出て界隈の養鶏場は閉鎖され、卵の出荷の出来なくなった養鶏業者に自殺者が出る。
5月、その被害はさらに拡大し、音別川上流域にある水鳥たちの越冬地ペンケ沼でもカモの死体が二羽確認され、それ以上の拡大を恐れた町は、ペンケ沼一帯に棲息するマガモ、ハクチョウなどをすべて一斉に殺してしまう。
そんな5月の珍しい猛吹雪の夜、森の奥にあるコーヒー店「ブナの森」に、一人の年老いた遭難者がころがりこむ。老人は記憶を全く失ってしまっている。「ブナの森」の女主人・みどりは、この老人を手厚く介護し何とか一命はとりとめるが、老人は記憶をとり戻さない。
口さがない店の常連客たちは老人について色々噂するが、心やさしい女主人・みどりは、老人を庇い店に置いてやる。
周囲の町は春がとっくに訪れているというのに不思議なことにこの一帯だけは冬が完全に居坐ったままである。
そんな時、一つの風評が流れる。
鳥たちの死はインフルエンザ=バード・ウイルスの為ではなく、まったく別の原因によるものではないのか、という風評。